ふるさと納税の「仕組み」が「おかしい」と感じる方への回答

ふるさと納税

ふるさと納税の人気が高まっています。

実質2,000円の自己負担だけで、日本各地の特産品が返礼品としてもらえる、お得な制度です。

「お得なのはわかった。」

「では、誰がその費用を負担しているの。」

そんな素朴な疑問を解決したいと思います。

ふるさと納税は、地方自治体間のゼロサムゲーム?

全体の総和がゼロになる関係を「ゼロサムゲーム」と言います。

ふるさと納税は、「自分の住んでいる」市町村から「ふるさと納税をする先の」市町村へ税金の納め先を変更する制度です。

日本全体でみると、納税者それぞれの納税額は増えても減ってもいないので「ゼロサムゲーム」になっています。

納税額という点で、納税者には損も得もありません。

では、なぜ納税者がふるさと納税をするのか。

もちろん返礼品の分だけ「得をする」からです。


次に、税金をうけとる市町村から制度を見てみましょう。

「住民」が「ふるさと納税」をすればするほど収入が減っていきます。

一方、「住民ではない方」から「ふるさと納税」を集めれば集めるほど収入が増えていきます。

まさに市町村の間で税金を奪いあう「ゼロサムゲーム」です。


自由に競争させた方がよいと考え、ふるさと納税を活用する方は大丈夫です。

しかし、市町村が「ふるさと納税」を奪いあい、返礼品や様々な経費に税金を使うことに疑問をもつ方がいます。

そんな制度には参加したくないと感じる方もいるでしょう。


そんな「ふるさと納税」への違和感をなくすには、きちんと制度を知っておく必要があります。


次は、あまり公表されていない詳しい制度の仕組みを解説します。

市町村のお財布を見てましょう

ふるさと納税の制度を解説する前に、市町村の収入を確認しておきます。

・地方税
・地方交付税

市町村の主な収入は、地方税と地方交付税です。

地方税は、住民税や固定資産税といった市町村の区域内に暮らしている住民から「市町村が集めた税金」です。

地方交付税は、所得税や法人税といった「国が集めた税金」を地方へ配分するものです。

イメージとして、下図の①を収入の総額とします。

次に、「住民」が「ふるさと納税」をした場合を考えてみます。

イメージとして、上図の②です。

地方税から「濃い青の部分」がなくなってしまう。そんなイメージでしょうか。

だから、他の市町村から「ふるさと納税」を奪ってくる必要があると。


ここから、あまり公表されていない制度の仕組みです。

上図の③を見てください。

実は、「ふるさと納税」として他の市町村に移っていった額の75%は「地方交付税」として補填される仕組みとなっています。

そのため市町村の損失は、実質25%です。


一方で、「住民ではない方」から集めた「ふるさと納税」の100%が自由に使える収入になります。

下図④は、ふるさと納税の「流出」と「流入」が同額の場合です。

「流出」した額の25%と「流入」した額の100%との差額75%が増収しています。

収入の総額が大きくなっていることがハッキリとわかります。

ふるさと納税は、市町村にとって、不利益は小さく、利益の大きい制度なのです。

他の市町村と奪い合うためではなく、日本全体で「ウィンウィン」な関係を築いています。



次にわいてくる疑問は、市町村の損失を補填する「地方交付税」は「誰が負担しているのか」ではないでしょうか。

「地方交付税」は誰が負担しているの?

地方交付税の財源は、下図のとおりです。

「なんだ自分が納めた税金じゃないか。」

そう思われた方、正にそのとおりです。

「他の市町村」へ「ふるさと納税」すると、自分の住んでいる市町村が困るのではないか。

そんな心配はいらなかったのです。

市町村は、あなたが「国へ納めた税金」できちんと補填してもらっています。

安心して「ふるさと納税」で返礼品えらびを楽しんでください。


次の疑問がわいてくる方は、かなりの疑い性ですね。

「国が集めた税金も無限にはない。」

「誰かが損をしているはずだ。」

さいごに、そんな疑問を解決していきます。

「ふるさと納税」で誰が損をしているのか?

「ふるさと納税」で誰が損をしているのでしょうか。

納税者は、「返礼品」をもらって得しています。

市町村も、「ふるさと納税」を集めて得しています。

ここまで、誰も損をしていません。


次は、損をしている方を紹介します。

・地方交付税の不交付団体

・予算の配分が減らされた事業や分野にかかわってる方


まず、「地方交付税の不交付団体」から見ていきます。

地方交付税は、市町村の税収が不足しているときに配分されるものです。

つまり、税収がたくさんある「川崎市」や「豊田市」のような「お金持ち市町村」には配分がありません。

市町村ではありませんが、「東京都」も不交付団体です。

そういった一部の市町村は、「ふるさと納税」分まるまる流出するので、大きな損失がでています。

もちろん、カンカンに怒っています。


次に、「予算の配分が減らされた事業や分野にかかわってる方」です。

これは「地方交付税」の仕組み上、特定することはできませんが、誰か損しています。

全国の「地方交付税」総額は限られています。

その中で、「ふるさと納税」の補填に回すと、どこかの配分が減ってしまいます。

「道路や下水道などインフラへの配分が減っているのかな。」という感じみたいです。

この分野からすると「ふるさと納税」は微々たるもののようですが。

「ふるさと納税」って何なのか

「ふるさと納税」をどのように考えるのか。

「返礼品が実質2,000円でもらえる。」

これが「ふるさと納税」のキャチコピーになっています。


ただ、この記事をここまで読まれた方は、そこに疑問を感じていたと思います。

この記事で伝えたかったことは、

・自分の税金は「好きな市町村」へ納められる。

・自分で「税金の使い道」を決められる。

・返礼品を通じて、地域の経済を応援できる。

「ふるさと納税」は、そんな素晴らしい制度ですよ。ということです。


この記事が「ふるさと納税」への疑問の解決に役立てるとうれしいです。


余談ですが、「ふるさと納税」を便利にした「ふるさと納税サイト」も得していますね。
確定申告などの手続きは、そちらが詳しいですよ。

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